スワップ運用で収益をあげる

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為替リスクを抑える

リスクとリターンは基本的にはトレードオフなので、リターンを求めるとリスクが高まります。一方でリスクを減らそうとするとリターンも減るか、他のリスクが増えることがほとんどです。

まあまあ安定していて、レバレッジをかければ年20%くらいになる通貨ペアは複数ありますが、1つの通貨ペアにすべての資金を入れると危険なので、分散する必要があります。同様に、取引手法についても、リスクが高く収益率も高いものや、より安全で収益率は低いものなど、異なるものを組み合わせて全体で年20%を達成できるようにするのがいいのではないかと思います。

 

為替リスクを低減しつつリターンを得る

スワップ目的の取引ではもちろんリターンはスワップです。スワップ自体は増減はあっても、適切に通貨ペアや業者を選択すれば、かなりの確実性をもって得られます。一方で為替変動が主なリスクとなるので、その変動を抑えることができれば、スワップ運用で利益を上げられる可能性が高まります。リスク対策となる手法には主に以下のようなものがあります。

  • 安いところでポジションを建てる
  • 高スワップで低変動の通貨を中心に分散投資する
  • 日本円以外の通貨と高金利通貨のペアで運用する
  • 逆相関となっている通貨ペアを組み合わせる
  • 分散投資した通貨の中でリバランスをする
  • 両建てで取引する

以下にそれぞれの対策を見ていきます。

 

安いところでポジションを建てる

高金利通貨は長期的に見ると下げることがほぼ確実で、長期で保有すると為替差損が増加してスワップの利益を上回る危険性もあります。これを避けるためにはスワップ運用であっても高金利通貨が安いところでポジションを建てることが何にも増して最も重要です。

これは「先週よりかなり下がって、値頃感がある」とかいう安さではなく、史上最安値か、それに近いところまで暴落を待つということです。逆にポジションを長期で保有しているなら、どこかでこの史上最安値がやってくる可能性が高いので、逆指値でストップを置いたり、大きく為替差益がでたところでは部分的に決済したりしておかないと、積み上げたスワップが消し飛ぶことにもなりかねません。

将来うまくいくかはわかりませんが、過去のデータを見ると、長期では下落を続ける通貨でも安いところで買うとその後数年は値を維持する場合もあります。

 

例えばメキシコペソ/円で見ると、2009年の安値(A)より安くなったときに(四角Aの中で)ポジションを建てていればその後約3年は為替差益が出てプラスで推移していたので、為替差損でスワップが相殺されて利益が目減りすることはありませんでした。(四角Aの中の安いところは5.5以下なので、2022年1月現在のペソ/円より下です。この時に仕込めたなら10年運用して為替はプラスです。)

同様のことが2012の安値(B)より安くなったときに(四角Bの中で)ポジションを建てた場合にもいえます。この時も(たまに安値Bを短時間割っているときがありますが)約3年後までほぼスワップで得た利益を為替差損で失うことなく運用できたはずです。

今後は、コロナショックの時に前回2016年の安値(C)以下で(四角Cの中で)建てたポジションを2年半から3年保有し、その後はのちに述べるリバランスや両建てなどの手法で下落に備えていく方針でいます。

現在は安値(C)を超えているので、これからペソが高いところでポジションをとって、長期保有するのはあまり賢明ではないかもしれません。2020年の安値の4.22を割るまで待つのがいいと思います。ただ、年単位で何もせずに機会を待つのは無理というなら、数年後に来るであろう下落に警戒しながら運用することになるでしょう。

 

高スワップ低変動の通貨を中心に分散投資する

2020年はコロナショックもあり、かなり為替の変動が大きくなった1年でしたが、通貨の組み合わせによってその幅もタイミングも異なります。値幅率の小さい通貨で運用すれば、証拠金を少なくして収益率をあげることができます。人民元のスワップの額はメキシコペソの約3分の1ですが、為替変動の値幅も3分の1ほどなので、3倍リスクを取れます。仮にレバレッジを3倍かけたとすれば、計算上ほぼ同じくらいの収益を上げることができることになります。

レバレッジをかけて取引する場合には、スワップの収益率だけでなく、暴落時の下落幅がどのくらいになるかにも注意する必要があるでしょう。

 始値高値日付安値日付値幅値幅率
中国人民元/円15.5916.0312/914.563/91.479.43%
インドルピー/円1.5201.5662/201.3673/90.19913.09%
メキシコペソ/円5.7416.0122/204.2224/61.79031.18%
露ルーブル/円1.7511.8041/131.29611/20.50829.01%
南アランド/円7.7297.8091/25.6084/232.20128.47%
トルコリラ/円18.2218.841/1712.0411/66.8037.32%

2020年の高金利通貨の値幅(最高値と最安値の差)

 

同じような動きをするので、高金利通貨の間で分散してもあまり意味がないという意見もよく聞かれます。確かにランド/円とペソ/円は連動性が高いのですが、その他の通貨も持つことでリスクの分散はできると思います。

2020年の変動をチャートで見ると、人民元/円(黒線)とルピー/円(オレンジ線)はコロナショック後の下落が小さく、安値をつけたのも3月9日と早かったのがわかります。その後も変動幅は小さく、安値を割りませんでした。

ランド/円とペソ/円は4月まで下落を継続して、その後に反転して年末まで上昇基調が続きました。同じような動きをするので、この両通貨を一緒に持っていても分散効果は小さいかもしれません。高いところで買ってクラッシュがあると損失が大きくなりますが、逆に安いところで買えれば為替で大きな利益を得られるかも知れません。

トルコリラやロシアルーブルも他の通貨が下落した3月から4月に下落しましたが、下落幅は比較的小さく、年間の最安値をつけたのは11月でした。

 

2020 年間変動率

このような通貨ごとの特徴を見ると、変動の小さい人民元やインドルピーを中心にし、南アランドやメキシコペソを少なめにしたポートフォリオを組むとリスクを減らすことができるのではないかと思います。また、ロシアルーブルのような変動のタイミングの異なる通貨を混ぜるのも効果的と思います。

例えば、メインの人民元とルピーはガチホールドで、ランド、ペソ、ルーブルはスイングトレードで上がったら売り、下がったら買いといったような運用もできると思います。