スワップ運用で収益をあげる

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スワップ運用の傾向と対策

スワップ運用ではポジションを持っているだけで収益を上げられるので、相場を読んで売買を繰り返す必要もなく、時間をかければ簡単に大金持ちになれるようなイメージを持ちがちです。ところが実際にはなかなか困難が多く、そう簡単にはいきません。計算上では「高金利通貨に100万円を投資し、年20%の複利で25年運用すれば、スワップが貯まって億になる」のですが、これを鵜呑みにしてはいけません。

情報発信を続けるのが困難なのか、ポジションを持ち続けるのが困難なのかわかりませんが、「ポジションをガチホールドで13年経過し、スワップが貯まって100万円が1000万円になりました」といったような情報は本当に限られています。一方で、損切りして撤退したり、スワップが下がって運用難になったりといったケースはいくらでも見つかります。たった20%かと思う人もあるかと思いますが、9割退場すると言われるFXの世界で毎年利益を上げていくのはかなり難しいことです。

それでもスワップは皆に平等で、同じ業者で同じロット数保有すれば、皆同じ額もらえます。たくさんスワップを稼いでいる人も、多く資金を注ぎ込んでポジションを多く持っているだけで、取引に特別な手法を用いたりしていないことが多いです。運用規模を拡大するだけだと、失敗したときの損失も同じく大きくなるので、気をつけなければなりません。

情勢や条件は常に変化していくので、この年20%を25年積み重ねていくには「ほったらかし」ではなく、常に変化に対応していく必要があります。また、スワップにはコツコツ積み上げていくイメージがありますが、リスクをとってより高い収益を目指すこともできます。そのためにはどのような方法を取るべきか考えていきたいと思います。

 

スワップ投資の問題点

スワップ投資でありがちな失敗には主に2つあります。ひとつはスワップの額が下がってしまい、十分な収益をあげられなくなることです。ふたつめはロスカットなども含めて、為替の変動による損失がスワップによる利益を上回ってしまうことです。これはある程度仕方のないことで、将来の金利上昇を見込んでスワップなしの期間を耐え忍んだり、含み損を抱えたまま長いことポジションをホールドしたりする必要もあります。

スワップ額の低下の原因には、政策金利の引き下げ、市場金利の低下、FX業者の都合の場合などがあります。違う通貨に乗り換えたり業者を変えるくらいしか自分でできることはないと思います。少しでも有利なスワップを得るためには、常に政策金利をチェックしたり、付与額の高い通貨や業者を探したりしないとなりません。

また、日々のスワップの収益は小さく、為替のボラティリティーはそれを上回ることがほとんどで、為替がちょっと大きく不利な方向に動けば、長いこと積み上げてきたスワップの利益も帳消しになってしまいます。この場合、スワップの収益が安定的に高い通貨ペアを選ぶと同時に、為替変動の影響を受けにくい手法を取らなければなりません。

高金利通貨の長期の傾向

高金利3兄弟といえばトルコリラ・南アフリカランド・メキシコペソですが、2007年からの14年間の変動をみると、最も下落幅が小さいペソで-52%、ランドで-57%、トルコリラは-82%となっています。これではスワップを稼いでも、為替の下落のマイナス額が上回り損失を出すか、運が良くてもスワップの大部分が為替のマイナス分にとられてほとんど利益がなくなってしまいます。

*追記*

2022〜23年には各国とも高インフレで政策金利を引き上げているので、利上げをしていないトルコリラを除き高金利通貨は全般上昇しています。

しかしながら、インフレは通貨の価値が下がることなので、結局は長期の右肩下がり傾向は続く可能性が高く、今後2008年、2011年、2015〜16年のような大きな下落があるかも知れません。

大きな下落はだいたい3〜4年に一度やってくる感じで、前回コロナショックが2020年なので、次の利下げ時期には十分に警戒したいところで、これからの高値掴みには注意が必要です。

*追々記*

2023年後半にトルコも利上げサイクルに入りましたが、トルコリラ/円は下落傾向のままです。

 

これがスワップ運用であまり利益が上げられないことの主因です。利益をあまり期待できず、リスクも背負うことになってしまうため、実質的にはミドルリスク・ローリターンと言えると思います。コロナショック後のように政策金利も通貨も下がると継続が困難になるということもあるので、常に為替変動への対策を怠らないようにしたいものです。