スワップ投資の世界

Forex Correlation Laboratoryへようこそ。このサイトでは、外国為替証拠金取引(FX)でスワップ運用を行っていく上で、どうしたらリスクを抑えつつ、収益を高められるかを考えていきます。開設当初は相関性(correlation)の高い欧州マイナー通貨ペアでスワップポイントが高めなものを探して投資していましたが、2020年のコロナショック後に金利が低下し、ほとんどスワップがつかなくなってしまいました。

その後は各国でインフレが進み、政策金利が引き上げられて運用がしやすくなりました。2023年は米ドル、英ポンド、チェココルナ、ポーランドズロチ、ハンガリーフォリント、ブラジルレアル、メキシコペソ、トルコリラ、南アフリカランド、インドルピーで分散していましたが、現在はユーロ/円を加え、南アフリカランドを全ポジション損切りし、英ポンドを決済するなど、中身を入れ替えています。

このサイトではスワップ運用に対する考え方や、運用手法について解説しています。最近の動向についてはブログを参照ください。基本ホールドなので売買はほとんどなく、とても退屈なものがほとんどです。またスワップ運用の傾向と対策やリスクを抑えるためのハイレバレッジによる運用についても記事を書いています。

☆過去成績→ 2024 2023 2022 2021 

2024年は国によっては利上げ終了から利下げに入るところも出てきており、スワポ額の減少や通貨の下落も予想されます。スワポ運用以外で分散を図り、スワポ収入の減少を補う目的で、両建て順張り反復売買による運用も始めました。前年に手仕舞いした南アランドが上昇で、乗り遅れぎみで再開し、10通貨での運用に戻しています。

*ロシアのウクライナ侵攻でルーブルは実際にはほとんど運用できなくなっていますが、過去の考察や成績はそのまま掲載しているのでご注意ください

 

スワップ投資の基本

金利の高い通貨と低い通貨を交換したときにその金利差を調整した額がスワップポイントとなります。FXで低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買った場合にはスワップを受け取ることが出来ますが、低金利の通貨を買って、高金利の通貨を売った場合にはスワップを支払うことになります。ほとんどの業者では1日の取引時間の区切りとなるニューヨーククローズをまたいでポジションを保有していた場合にスワップポイントが発生します。

スワップ投資では高金利の通貨と低金利の通貨のペアを長期保有して、頻繁に取引することなしにスワップポイントを積み上げていきます。例えば2023年の1月時点では100,000メキシコペソを日本円で買って、ペソ/円のポジションを持ったまま日をまたぐと、1日あたり190〜200円程度のスワップを得ることができます。1日あたりの付与額が190円で変わらなかったと仮定して、1年間保有すると69,350円程度の収益を見込むことができます。100,000ペソを約690,000円として計算すると年間の収益率は約10.05%となります。(*追記* 2024年4月時点では260円程度のスワップがついています)

スワップポイントはおおむね2国間の政策金利の差に沿ったものとなりますが、実際には短期金利市場の金利の動向によります。各FX業者は、カバー先金融機関から提示される短期金利から日々のスワップポイントの額を決定しているようです。運用中の通貨を発行する各国の政策金利(2024/1)をあげますが、対円の通貨ペアの場合スワップポイントの収益率はだいたい政策金利より少し低いところになる場合がほとんどで、これより高い場合はかなり有利であると言えます。

2021-2022年は各国でインフレが進み、かなり政策金利が引き上げられて10%を超える国も増えました。コロナ後に金利が下がってスワップ運用が困難だった時期からかなりよくなっていますが、2023年後半には利上げサイクル終了から利下げする国も出始めていて、通貨の下落には注意が必要です。

 
国名 トルコ メキシコ ハンガリー インド ポーランド 南アフリカ ブラジル
通貨 リラ ペソ フォリント ルピー ズロチ ランド レアル
記号 TRY MXN HUF INR PLN ZAR BRL
政策金利 42.50% 11.25% 10.75% 6.50% 5.75% 8.25% 11.75%

2024 【政策金利の変更】

1/25  トルコ45.00%に引き上げ
1/30  ハンガリー10.00%に引き下げ
1/31  ブラジル11.25%に引き下げ
2/27  ハンガリー9.00%に引き下げ
3/20  ブラジル10.75%に引き下げ
3/21 トルコ50.00%に引き上げ
3/21  メキシコ11.00%に引き下げ
3/26  ハンガリー8.25%に引き下げ
4/23  ハンガリー7.75%に引き下げ
5/8   ブラジル10.50%に引き下げ
5/21  ハンガリー7.25%に引き下げ
6/18  ハンガリー7.00%に引き下げ

7/23  ハンガリー6.75%に引き下げ
8/8   メキシコ10.75%に引き下げ
9/18  ブラジル10.75%に引き上げ
9/19  南アフリカ8.00%に引き下げ
9/24  ハンガリー6.50%に引き下げ
9/26   メキシコ10.50%に引き下げ
11/5  ブラジル11.25%に引き上げ
11/14  メキシコ10.25%に引き下げ
11/21  南アフリカ7.75%に引き下げ
12/11  ブラジル12.25%に引き上げ
12/19  メキシコ10.00%に引き下げ
12/26  トルコ47.75%に引き下げ

 リンク 2022-23 【政策金利の変更】

 

毎日のスワップは少額なので、ポジションを長期間保有してスワップを積み上げていくことになりますが、スワップは日々増減することがあり、必ずしも毎日決まった金額を得られるわけではありません。また、同じ通貨ペアでも業者によってスワップ額が異なることがほとんどです。そのため、情報収集をこまめにして、高いスワップを長期間安定して付与していそうな業者を選ぶ必要があります。

 

FXとレバレッジ

FXではレバレッジをかけて実際の金額より少ない証拠金で外貨のポジションを建てることができるので、収益率をあげることができますが、一方で為替の変動の影響も大きくなるのでリスクも増えます。

例えばレバレッジ2倍で100,000メキシコペソの買いポジションを建てると、70万円分を35万円の証拠金で保有することができます。1日190円のスワップを得られるとすると年約20%の収益をあげられます。

一方で、メキシコペソ/円は2020年に最大31%下落したので、最も高いところで70万円相当のポジションを建てたとすると、20万円程度マイナスとなる可能性は十分にあるといえます。

 

複利計算

計算上は100万円を年利20%で複利運用すると25年とちょっとで1億円に達し、30年後に2億3737万6314円、約237.38倍になります。単利では30年で7百万円となり、その差は2億3037万6314円です。右側は保有資産の中のスワポ運用中の額で、左の複利の想定額に対する進捗を示しています。

  単利の場合 複利の場合 差額 達成月 スワポ運用資産額
0 年後 1,000,000 1,000,000 0    
1 年後 1,200,000 1,200,000 0    
2 年後 1,400,000 1,440,000 40,000    
3 年後 1,600,000 1,728,000 128,000    
4 年後 1,800,000 2,073,600 273,600    
5 年後 2,000,000 2,488,320 488,320 2019/7 2,813,233
6 年後 2,200,000 2,985,984 785,984 2019/12 3,299,539
7 年後 2,400,000 3,583,181 1,183,181 2020/1 3,622,589
8 年後 2,600,000 4,299,817 1,699,817    
9 年後 2,800,000 5,159,780 2,359,780 2020/5 5,798,331
10 年後 3,000,000 6,191,736 3,191,736 2020/8 6,434,455
11 年後 3,200,000 7,430,084 4,230,084 2020/11 8,690,717
12 年後 3,400,000 8,916,100 5,516,100    
13 年後 3,600,000 10,699,321 7,099,321 2021/3 11,316,673
14 年後 3,800,000 12,839,185 9,039,185 2021/6 13,060,903
15 年後 4,000,000 15,407,022 11,407,022 2021/12 15,496,794
16 年後 4,200,000 18,488,426 14,288,426 2023/6 20,213,478
17 年後 4,400,000 22,186,111 17,786,111 2024/4 22,449,050
18 年後 4,600,000 26,623,333 22,023,333    
19 年後 4,800,000 31,948,000 27,148,000    
20 年後 5,000,000 38,337,600 33,337,600    
21 年後 5,200,000 46,005,120 40,805,120    
22 年後 5,400,000 55,206,144 49,806,144    
23 年後 5,600,000 66,247,373 60,647,373    
24 年後 5,800,000 79,496,847 73,696,847    
25 年後 6,000,000 95,396,217 89,396,217    
26 年後 6,200,000 114,475,460 108,275,460    
27 年後 6,400,000 137,370,552 130,970,552    
28 年後 6,600,000 164,844,662 158,244,662    
29 年後 6,800,000 197,813,595 191,013,595    
30 年後 7,000,000 237,376,314 230,376,314    

数字で見てもわかりにくいので、左の年20%の短利運用と複利運用の違いをグラフにすると↓以下のようになります。

スワップで年率換算の収益率20%での運用は、そこまで簡単ではないけれど、もしかしたらできるかもしれないという期待の持てる目標ではないでしょうか。

ただ、実際に運用するとこのように順調にいくことはまずありません。右の欄の自身の資産額の変化と利益をグラフにしたものをあげます。サイト開始時の2019年7月は2,813,233円(5年目に相当)でしたが、損益(黒折線)はマイナスで、その後は2020年3月にコロナショックを受けてさらに損失が広がっています。

この頃まで入金も多かったのであまり参考にならないかもしれません。特にコロナショック後に資金を注入しています。原資は最大1,000万円程まで増やしましたし、プラ転まで開始から1年半ほどかかっていて、はじめは少ないスワポや含み損でかなり忍耐が必要です。

2021年は各国の利上げが進み利益が伸び、スワポ運用資産額は12月に1,500万円に達しています。

2022年も順調で4月には資産額1,800万円まで伸ばしましたが、不動産購入で500万円を取り崩してからは伸び悩み、後半は日銀の為替介入もあって利益を減らしています。

2023年の年初の時点では投入資金の額は550万円、運用資産額は1,300万円ほどで+850万でしたが、運用口座からは原資を全額回収し、自己資金は銀行口座に移した280万円のみとなっています。

2023年の年末時点のスワポ運用資産額は17,268,979円で運用開始来の利益は+14,468,979円となっています。10月には2,100万ほどまで資産を増やしましたが、年末にしくじって利益を減らしています。原資回収で利益のみを回してスワポ運用ができるようになりました。

2024年以降は投入資金を回収して新NISAに回し、スワポ運用は規模縮小しています。10月には銀行口座に入れていた非常用の資金も回収し投入資金(下のグラフのオレンジ)がマイナス圏に入っています。(12月時点でのスワポ運用資産額は19,159,654円で、運用開始来の利益は+19,609,654円となっています)

一応ここまでは、プランを超えるペースで増やすことができていますが、各国とも利上げ停止から利下げに入ってきているため、ポジションを増やしていません。また、2024年7月の日銀利上げ以降の円高で利益を減らしています。

できるだけ安定した運用にするためスワップ運用の問題点を挙げて対策を検討しています。現在はハイレバ戦略も導入して、収益率がいくらか高くなっています。